(きた日誌) 「補聴器購入」の際には ご注意ください まず耳鼻科医の診察が大切です
日常生活や仕事の現場で
「聞き取りにくい」「何度も聞き返す」「聞き間違いが多い」などを 感じておられる方は多いことでしょう
私が所属し 専門医を取得し 補聴器相談医・身体障害者福祉法第15条の指定医(身体障がい者手帳申請書を書くことができる)でもある 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会でも
●難聴啓発プロジェクト「聞きにくさを感じている方へ」(クリック)
●補聴器相談医リスト(クリック)
など 難聴に対する情報発信を行っています
当院では どなたにも 特にご高齢者様 難聴者様にも 私からのお話や説明をしっかり聞いてもらうために
Comuoon(クリック) を導入して 診察しています。患者様は 実際に聞こえなかったり ともすれば 医療者に気を使って 聞こえていなくてもうなずいたり わかったと言われることもあります。
診察室を思い浮かべてみましょう。医師は マスク越し、電子カルテの方を向いたまま、ボソッと説明。会話、キャッチボールは 本来双方向のはずが 完全な一方通行。最後に 一方的に「わかりましたね!お大事に」
いやいや。「説明したつもり」「聞いたつもり」では 治療が50%も完成していません。
診断、治療、生活習慣改善すべてが伝わって 「安心しました」 ということばをお聞きするところまでが 診察だと考えています。

特に ご高齢になると「年齢のせいだ」と考えて
ご自身で もしくは ご家族が ひとまず 補聴器を買って試してみよう と 耳鼻科の診察を経ずに補聴器を購入されるケースは珍しくありません
ただし 一度も耳鼻科診察を受けずに
お店で補聴器を購入されている方の中で 色々な問題が発生して ご相談をお受けすることが増えています
いくつかの例を お示します
①すでに 何年も前に お店で補聴器を作られた方が 聞こえにくいと受診された。耳の中を見ると 耳垢がつまっていた。耳垢を除去すると、補聴器がいらないくらいに よく聞こえておられた。
➁補聴器を持っておられる方が 耳がかゆいと受診された。耳の中を見ると 耳垢がつまっていた。補聴器を見せてもらうと、耳垢がつまったまま、耳の型を取っていたので、本来の外耳道の形とは全く異なる補聴器を使っておられた。
③すでに補聴器を使っておられる方が診察にこられた。診察では 慢性中耳炎・滲出性中耳炎があったが 治療されずに補聴器を購入されていた。その治療により 補聴器が必要でなくなったり、身体障がい者の適応変更があった。
④とても高額な補聴器を勧められて、購入されていた。まったく必要性がない機能がついた補聴器を使っておられた。
⑤通常の聴力検査を行わずに、補聴器を購入されていた。来院されて、聴力検査を行ってみると、難聴の身体障がい者に該当する程度であった。その場合、補聴器購入の補助金が使えるのに、補聴器店では そういった検査、説明は一切なかった。
⑥補聴器購入は 医療費控除の対象になっているが 補聴器店からは説明なく 購入されていたため 申請年度に間に合わなかった。
⑦(守口市では)2026年春から 軽度・中等度難聴の方が 補聴器を購入する場合には 補助金が交付されるが(住居・年齢などの対象資格があります)それを知らずに 補聴器店で 購入していた。
挙げればきりがないくらいに 毎日 こうしたトラブルを目にしています。
眼鏡の場合 眼科医の診察なく 購入されるケースが多いのかもわかりませんが(適切な眼科医の診断、治療が必要なことは言うまでもありません) こと 難聴に関しては
1)まずは 耳鼻科医の診察、検査を行う(治療が必要な病気がないか?聴力の程度は?補聴器が必要な状態か?など)
2)もし 高度難聴であれば 身体障がい者手帳交付の対象かどうか?を判断する
3)場合により 軽度・中等度難聴では 補聴器補助申請対象かどうか?を判断する
4)生活環境や背景を考えて 補聴器が適しているのか?集音器などが適しているのか?まで 判断する
その上で 補聴器を検討していただきたいと思います。誠意ある対応で補聴器販売をされている方、お店も多い中 高額な補聴器購入には くれぐれも ご注意ください。
補聴器は 価格だけでは 聞こえやすさは決まりません。高額の補聴器がよく聞こえるわけではありません。
その方の聴力、聞こえやすい周波数、難聴の経緯、病気の有無、生活環境(いつどのように使うことを想定しているか?)、機器の形や調整方法などなど、あらゆることで 聞こえやすさが決まります。まさに 聴力、補聴器は 生きもの 活きものです。
当院で 補聴器がうまく使えて 聞き取りが改善すると 表情が変わり 歩き方が変わり 見え方が変わり 味が変わり においが変わり 頭がさえて コミュニケーションが変わる。そのような報告を 多数 お聞きしています。
現在 補聴器外来(クリック)を開設しておりますが
今後 当院では APD(聞き取り困難症)外来 開設も予定しています。



