急性中耳炎
ふるくて あたらしい そんな病気ともいえます。

〇十年前に比べると 急性中耳炎は少なくなり さらに重症化したケースは 診察することが減りました。
病気の認知度もあがってきて 学校からも 早めに医療機関を受診することをすすめられたり 各種治療薬の進歩…
一方で 各種細菌感染は 耐性菌の影響もあって 治療が難しいこともあります。

色々なウィルスや細菌感染が増える冬季は やはり 急性中耳炎は 今も珍しい病気ではありません。
現在は 各種疾患のガイドライン(治療方針)が 示されているため
一般的な病気は これに沿った治療をすることになります。

小児急性中耳炎のガイドライン(かなり省略します)では
軽症では 抗生物質などを使わずにしばらく経過観察 → 経過に応じて 抗生物質 → 治療効果に応じて薬をかえる
中等症・重症では はじめから抗生物質を使用(場合により鼓膜切開) → 経過に応じて 薬をかえる
単純には そういった方針が示されています。

冬季に受診された 小児中耳炎での とある地域での治療ケース(詳細は改変)

症状がさほどひどくない状態で はじめからセフェム系抗生物質(基本的に推奨されていない)
→数日で 効いていなさそうだから マクロライド系抗生物質
→数日で 効いていなさそうだから 別のセフェム系抗生物質
→数日で 効いていないさそうだから ニューキノロン系抗生物質
ご家族が 耳漏は治らず 下痢が続くため これでいいのか?と心配されて 受診されました。

しっかりと 鼻の処置などを継続して行っている間に 急性中耳炎は軽快していきました。
抗生物質も、使用することはありませんでした。

初期段階で診察をしておらず
よくいう「後医は名医」(=後から診察したほうが 経過や治療効果を分かったうえで治療ができる)ということを差し引いても

そもそも抗生物質が必要だったのか?どんな細菌を想定して、どんな効果を期待して抗生物質の種類を選んだのか?
継続的に鼻漏などの処置はやっていなかったのか?幼少期の腸内細菌叢については?

ガイドラインが普及し 耳鼻咽喉科、小児科医では 特に抗生物質の使用については 適切な治療法が浸透していますが、
まだ こんな急性中耳炎治療を施されることがあるのか⁉と 少し驚きも感じました。

 

治療方法にも問題がありますが
その子の生涯の腸内細菌バランスが決まってしまう 3-5歳以下の年齢で

抗生物質の濫用は ほんとうに注意が必要です。
幼少期の診察、薬の治療は その子の一生を担う重責がある そんな自覚を持って 診察にあたっていきたいものです。

 

きたにし耳鼻咽喉科