6~7月は、学会、研究会の発表が続いていることと、ホームページの更新もあって、なかなかブログも更新できなかったのですが、ぼちぼちと書いていきたいと思います。

 

代表世話人をさせてもらっているシャーラーキャ・タントラム研究会の第2回が開催されました。

シャーラーキャ・タントラムとは、インド伝統医学 アーユルヴェーダのなかで、頭頚部領域のことを指しています。今回は、西洋医学・統合医療の観点から、私が鼻疾患に関してのお話をさせていただき、アーユルヴェーダの耳鳴り治療、アロマテラピー、認知症の予防・対処法、脱毛症の鍼灸治療など、ほんとうに幅広い頭頚部領域の症状、治療の専門家が集まり、ほんとうに有意義な会になりました。

話変わって、先日、小さなお子さんが診察にこられて、帰りがけに どこかを見て、何かしゃべっています。

ことばがまだはっきりとは言えなかったので、わからなかったのですが、お母さんが

「アンパンマンだね」

とおっしゃっていました。お母さんには、ちゃんと「アンパンマン」といった声がわかったんですね。

これがおそらく、お子さんが見ていた診察時の風景です。

さて、どこにアンパンマンが?と思ってよく見てみても、見つけられません。

…っと、よくよく見ると、傷テープのアンパンマンの箱がありました!

聴覚には、「カクテルパーティ効果」という現象があります。一般的には、

”人間の聴覚は数多くの音の中から自分に必要な音だけを選んで聞きとることができる”と説明されています。そういえば、混雑したデパートではぐれても、なんとなく家族の声が聞こえてきて、行って見ると、やっぱりそこにいた、なんていうことは経験しますね。

ただし、「カクテルパーティー効果」は「選択的注意」とも呼ばれ、聴覚だけでなく、視覚などにも影響する私たちの意識と脳のメカニズムを指す、ともいわれています。

 

まさに、いろんなものがある中でも、子供の「視覚のカクテルパーティ効果」を発揮したんだな、と納得させられました。

 

現代の私たちは、あまりにも多くの視覚情報、聴覚情報、その他の情報に触れる生活を送っています。

子供たちのように、いろんなものがある診察室の中で、大好きなアンパンマンだけを見つけ出す力、ほんとうに大好きな、必要な情報だけを拾える、使える、そんな力を、情報洪水の中に生きる大人も、大切にする必要があるなと思いました。

きたにし耳鼻咽喉科