先日 福岡伸一先生のセミナー第2弾に出席してきました。あらためてご紹介する必要もないと思いますが、動的平衡、生物と無生物のあいだ、フェルメールなどで著明な分子生物学者でいらっしゃいます。日本、世界とお忙しい先生のご講演をお聴きする機会は、とても貴重です。

今回は、「キヌレニン回路」を中心にお話しいただきました。グルタミン酸というアミノ酸は、大切な神経伝達物質でもありますが、特に耳鼻科医にとっては、グルタミン酸は、聴覚の主要な神経伝達物質として、とても興味深いアミノ酸です。

 

そのグルタミン酸の受容体を刺激する物質の一つが、キヌレン酸という物質で、その代謝経路が、キヌレニン回路ということになります。

HPより

 

精神疾患の中には、このキヌレン酸、キヌレニンの生成・代謝が原因ではないかと考えられているものもあり、今後も注目される物質です。またこの経路ででてくる物質、酵素が、抗がん、アンチエイジングとも関連していると考えられていて、現在研究者の間でも注目されているとのことでした。

聴覚神経伝達物質であるグルタミン酸と関連するキヌレン酸が、今後難聴、耳鳴といった症状の原因解明、治療につながっていくことも、興味をもってみていきたいと思いました。

 

難しい内容を、とてもわかりやすくご説明される福岡先生のご講演を、今後も楽しみにしています。

きたにし耳鼻咽喉科