2007年に、太田成男先生が、分子状水素(H2)が医学的に応用可能であることを示唆する論文を発表されました。その後のいろいろな研究から、水素の抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗細胞死作用、エネルギー代謝促進効果などが明らかになり、様々な疾患の予防や治療にと、期待されています。

さらに、水素吸入治療法が厚生労働省の先進医療Bとして、2016年11月30日に承認されました。心肺停止後の蘇生後に患者に水素ガスを吸入させ、生命を護り、さらに脳機能を護ることで、社会復帰をめざす革新的な治療法です。

耳鼻科分野では、内耳のフリーラジカルに対する防御機能としての論文など、研究がすすんでいて、私のクリニックでも、患者さんにご説明をし、ご了解を得て、水素吸入療法を行っています。私自身も、少し疲れ気味のときには、水素吸入で視界がすっきりして、調子がよくなります。なかなか、水素のみの効果を判断することは難しいですが、からだの酸化指数が測定できる機器では、酸化指数の改善が見られ、実際に難聴などの改善も見られています。

こうした結果などを含めて、今回立ち上がった水素の研究会の世話人に推薦いただき、早速ですが、耳鼻科領域での効果を発表してきました。各科、各領域からのお話は、とても参考に、勉強になりました。まだまだ、研究段階ではありますが、予防や、各疾患の治療ツールとして、大いに期待しています。

きたにし耳鼻咽喉科