緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ不安な日々を過ごしておられる方も多いと思います。
本日の新聞広告にもありましたが、記事を掲載していただいている コロナ関連記事・雑誌『新型コロナウィルス対策!免疫力を上げる50の方法』は 引き続き多くの方に読んでいただいているようです。あらためて、3密を避ける、生活予防の対策に加えて、自身の体調を調えておくこと、日々のセルフケアが、何より大切であることを、みなさんが実感する機会になりました。

今年は、新型コロナウィルス感染拡大対策としての外出自粛もあり、生活パターンがいつもと大きく変わりました。また、感染したらどうしよう、逆に自分から感染させてしまったらどうしよう、症状が出ても病院にかかるのも心配、など、いつも不安を抱え、緊張感を持って過ごさざるを得なくなりました。

やはりそういった、ストレス下、交感神経優位の環境下では、からだの色々なところに不調をきたすのも当然かもしれません。耳鼻科でも、そういったときに多く見られる症状があります。その一つが、「低音障害型難聴」と呼ばれる疾患です。以下は、その一例です。

子育てをされている女性。上に書いたような生活が続いてはいたものの、自身ではさほど「ストレス」とは感じていなかった。
外出自粛の中、ある日 朝 起きたときから 左耳がつまった感じがする。風邪をひいていたり、花粉症がひどいわけでもないので、鼻をかんだなどのきっかけは思い当たらない。このように、必ずしも、~なストレスを感じていた、と自覚するケースばかりではない。逆にいうと、自分の気持ちよりも、からだの方が素直に反応する場合もある。

受診された際の、左側の聴力は、


125, 250, 500Hzの周波数が低下している。めまい症状はなく、今後の経過により正確な診断名は変わってくる場合もあるが、低音障害型難聴。通常、耳鼻科での診察では、循環改善剤、ビタミンB12製剤、場合によってはステロイド剤が使用される。

今回は、過去に ステロイド剤が合わなかった経験があったこともあって、循環改善剤やステロイド剤などは一切使わず、患者様の希望にも沿って、漢方薬、耳置鍼、バイオレゾナンス調整を組み合わせて治療を行った。また、食養生をお伝えして、腸内環境を調えていただいた。時期的に、免疫力を落とさないために、ビタミンD、亜鉛などのミネラル、免疫ビタミンLPSなども、適宜 摂っていただいた。

10-14日たって、あらためて行った聴力検査では、

正常域まで改善した。耳づまりの自覚症状もほぼ消失した。あくまでも、自然に治る場合があるので、~が効果があった、という評価は難しい。ただ、不必要なステロイド剤などを使うことなく改善したのは、うれしい限りである。この方の例のような、今回の生活環境の変化に伴う低音障害型難聴や関連症状を診察させてもらう機会が増えている。

先の雑誌などでも紹介していますが、記事を読んだだけで、予防や治療をやった気になってしまうことが多いように思います。勉強でも、参考書を買ったら、何か勉強をした気になる、ということは、経験した方も多いでしょう。診察に来られて、調子がよくなっている方々は、やはり、自身にあうもの、あうと感じるものを取り入れて、実践し、継続されています。

まだまだ、コロナウィルス感染を含めて、たいへんな日々が続きますが、一歩ずつ 前向きに進んでいきたいですね。

 

きたにし耳鼻咽喉科