(きた日誌)『婦人公論 2023年2月号』記事掲載 ~の水際対策の強化を!
婦人公論 2023年2月号に記事が掲載されています。
婦人公論.jp でも 記事をご覧いただけます。
新型コロナ、インフルエンザなどの感染期が続いています。最近の傾向としては、発熱なく、のどの痛みやかるい咳のみの症状での陽性者も多数おられます。
生活上の対策は必要ですが、あらためて、自身のからだ 特に粘膜・粘液のはたらきを保つことがとても大切な対策だと感じています。雑誌内では、そういった内容を書かせてもらっています。
1992年 耳鼻科医になり、振り返るともう30年が経ちました。ものすごく単純に計算すると、
1日 100名診察 × 1か月 20日診察 × 12か月 × 30年=72万人!!!
そうなんです。これだけの方を 診察させてもらってきていたのです。
他の診療科ももちろんですが、特に 私たち耳鼻科医は、耳、鼻、のど、気管の診察をしますので、上の計算で行くと、これまでに 72万人分の唾液、分泌物、血液、各種飛沫にさらされてきていたんですね。一方で、あくまでも記憶ですが、この30年で1,2回 発熱があり、インフルエンザと診断されたことがあったように思いますが、今回の新型コロナパンデミック後も含めて、風邪症状や発熱などを経験することはほぼありません。
毎年、インフルエンザ、新型コロナを含めた各種ウィルスに罹ってもおかしくない状況でも、まったく感染症状がない。これは何故なのか?
一つには、耳鼻科診察によって、これまで多くのウィルスにさらされ、暴露されてきたために、知らずに感染をして、抗体ができ、免疫力が高まってきていた、ということだと感じています。実際に、外来をしている知人医師からも、まったく感染自覚症状はなかったが、たまたま新型コロナウィルス抗体を測定してみると、とても高い値を示していて驚いた、という話を聞きました。
もちろん、感染した方がいい!ということではありません。ただし、現代は、幼少期から抗菌・抗ウィルス生活が主。大量頻回のワクチンで、先手先手で感染予防。症状が出ると早めの薬。しっかりと風邪をひく間もありません。私が講座などでよく引用させていただく野口晴哉先生のことばを借りると、
『 風邪は治すべきものではない。経過するものである。自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になる。』
もう一つは、雑誌記事にもかかせてもらった からだの防御壁の最先端である粘膜・粘液を、いい状態に保つということだと思います。栄養として ビタミンA、C、D、亜鉛、マグネシウム、セレン、グルタミン、LPS(リポポリサッカライド)をはじめ、粘膜・粘液がよろこぶ成分を積極的に摂る。鼻うがいやオイル点鼻、舌みがきなどの日常の養生を続けるなど。自身でもその効果を実感しています。
水際対策は、空港の検疫だけではありません。粘膜・粘液など からだの水際対策がより大切ですね。