『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(堀田修著)が発売になります。

当院も、治療医療機関として紹介していただいています。

日本病巣疾患研究会のHPより、慢性上咽頭炎、病巣炎症についての説明を引用させていただきます。

「…… 病的炎症によりリンパ球などの免疫担当細胞が活性化されると、活性化されたリンパ球や単球に加え、これらの細胞が産生した炎症物質(サイトカイン)が血流に乗って全身を駆け巡り、遠くはなれた腎臓、関節、皮膚などに炎症を引き起こすという重要な機序が存在します。
この場合、上咽頭炎を「病巣炎症」(原病巣)と呼び、病巣炎症によって引き起こされた腎炎、関節炎、皮膚炎などを「二次疾患」と呼びます。そして、この現象は本来は外敵から自己を守るはずの白血球が、免疫システムに狂いが生じることにより、自らの組織を攻撃する「自己免疫疾患」といわれる病態とみなすことができます。また、上咽頭炎以外では扁桃炎(扁桃病巣炎症)と虫歯、歯周囲炎(歯性病巣炎症)の頻度が高く「病巣炎症」として知られています。……」

少し難しい説明ですね。慢性的な炎症が、離れた臓器の病気・症状の原因になる可能性があります。その炎症の代表的な部位が上咽頭です。上咽頭炎自体の症状も多彩で、鼻やのどの違和感、後鼻漏、慢性的な咳をはじめ、頭痛、慢性疲労、めまいなども、慢性上咽頭炎が原因となる可能性があります。

当院にも、このような不調に苦しむ方々が、遠方から(四国、北陸、関東などからも来られます)、多数来院いただいています。「どこに行っても異常なし、といわれます」といった訴えでお越しになる場合も多く、すべての方とは言えませんが、しっかりと診察したり、治療することで、何か月、場合によっては何十年も苦しんだ不調から解放されている方がおられます。

また、腎臓疾患、特にネフローゼ症候群やIgA腎症の原因の1つとしての慢性上咽頭炎は、とても重要です。最近では、大学病院からも、腎臓疾患の方に対して、慢性上咽頭炎の治療を、という依頼・紹介もいただくことが増えました。医師の中でも、あまり普及していなかった、慢性上咽頭炎に対する知識が、徐々に広まってきていることを実感しています。

これまで、塩化亜鉛を使った上咽頭の治療は、主に「Bスポット治療」と呼ばれてきましたが、海外からの問い合わせや、海外論文への対応を考慮して、上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy EAT 通称イート)という表現を使用することになってきています。このEATに加えて、当院では慢性炎症に対して、水素による治療も併用して行っています。まだまだ、治療効果を発表するところまでは至っていませんが、水素併用の炎症治療は、とても効果的な印象があります。

今後、お一人でも、お困りの不調から改善する、解放される方が増えることを願っています。

きたにし耳鼻咽喉科