タイトルにある「EAT」を見て、どう感じるか は 様々でしょう。
耳鼻科医のブログと思って読まれている方は、GO TO 「
EAT」のことだとは思われないでしょうが…

少しずつ認知度が上がってきている 上咽頭擦過治療のことを、以前はBスポット治療と呼ばれていましたが、最近では Epipharyngeal Abrasive Therapy の略で、EAT(イート)と呼びます。

各種症状の原因として、慢性上咽頭炎の関わりが大きく、また Long COVID コロナ感染後遺症に対する治療としても、EATが注目され、学会発表や論文掲載なども増えてきています。
耳鼻科医でも、まだまだ、慢性上咽頭炎やEATをご存じではない、EATを行っていない、場合によっては、EATという治療法自体にも疑問を持っている、そういったケースも珍しくありません。

一方で、EATを積極的に行っているクリニックもあります。当院でも、適切な診断や、個々の症状などにあわせて EATを行っていますが、後鼻漏や鼻のど違和感だけでなく、腎疾患・皮膚疾患・コロナ感染後遺症などの対処法としても、とてもよい印象があります。

ただし、「なんでもEAT!」といわんばかりに、あれもEAT、これもEATと、どんな症状に対してもEATを行っている場合や、効果が乏しいにもかかわらず、ずっと治療を行い続けている場合があるようです。実際に、そういった方が受診され、ご相談を受けるケースが、たいへん多くなっています。

当院では、「なんでもEAT」ではなく、個々の症状はもちろん、これまでの症状出現までの背景や治療の経過、年齢や性別、また必要な方は採血や各種検査で、栄養療法としての評価を行った上で、治療方針を決定し、すすめていきます。特に女性では、貧血や甲状腺疾患などがかくれているケースも多く、そういった全身状態を評価せず、他院にて 長期間 EATを続けていても治らず、貧血の治療を施すことで、調子が良くなったという方もおられました。また、各種書籍・雑誌などでもお伝えしている、鼻うがいやオイル点鼻をはじめ、LPSや亜鉛、ビタミンB群などの摂取で、劇的に改善される場合もあります。

あらためて、その分野に特化して 診断治療する専門外来は、とても有効ではありますが、あまりにも、その診断治療に固執して、他の可能性を考えず、全身的な状態や背景を一切みない、それでは、かえって診断・治療の幅をせばめてしまっています。

あらためて、
 木を見て森を見ず
 鼻を見てからだを見ず
 上咽頭を見て患者さんを見ず
にならないように、診察していきたいと思います。

きたにし耳鼻咽喉科