NHK 『総合診療医 ドクターG』でおなじみの鈴木富雄先生を、当医師会の講演会にお招きしてお話しいただきました。会員の先生方からも人気があり、講演会でお話を聞きたいというご要望にお応えして、今回の3回目のご登壇となりました。

過去には、不明熱、浮腫とお話しいただき、今回はリンパ節腫脹についてでした。耳鼻科では、毎日のようにリンパ節が腫れたといってこられる患者様を診るので、とても有意義な講演でした。

FBにも書かせていただきましたが、私たちは、病院にこられると、「患者さん」と決めつけ、耳鼻科にこられると、「耳鼻科の病気を持っている」と決めつけています。しかし、実際に病気があるとは限らず、まして耳鼻科の病気であるとは決まっていません。やはり総合診療としてのお話をお聞きすると、日々の凝り固まった考え方をほぐしてもらえるように思います。

また先生から、「choosing wisely」のお話もお聞きしました。米国の医師たちからはじまった、ある種のムーブメントですが、簡単には

「現在医療の世界で行われている検査や治療が、過剰な検査・過剰な治療になっていないかきちんと検証していこう」というキャンペーン

ということになります。

http://choosingwisely.jp/

キャンペーン名はともかく、毎日の診療をしていると、自戒の念もこめて、これがほんとうに必要なのかな?と思わせる検査を受け、薬をもらわれている患者さんをたくさん見受けます。

よく私たちは、「とりあえず」「一応」「~してみる」といって、診療していることがなんと多いことか。居酒屋で「とりあえずビール」は許せても、病院での「とりあえず抗生物質」「とりあえずCT、MRI」には、大きな問題があります。当院にこられた患者さんで、近隣の病院で、同じ部位のMRIを、約1年の間に6回も撮影したという方がおられました。患者さんは、医師の「とりあえず」にしたがうしかないのかもしれませんが…。

やはり、実際に診察して、検査をして、診断をして、治療方針を決める医師の側がほんとうに必要なのか、適切なのかを見極める気持ちと判断力が必要だと感じますね。

きたにし耳鼻咽喉科