先日、内閣官房に「孤独・孤立対策室」が設置されたと報道された。
もうすでに、イギリスでは Minister for Loneliness いわゆる孤独担当大臣が任命されている。

世界では、国民、社会にとって大切なことは、国の施策として取りいれるすばやい行動力があるように感じる。私が学会理事長を拝命しているアーユルヴェーダについては、インドには、伝統医学省(AYUSH省)が設置されている。※ AYUSHのAがAyurveda

 

最近は、各所で講演依頼をいただいたり、書籍出版のお誘いをもらう機会が増えたが、センテナリアン(百寿者)について、お話しすることも多い。拙書『「うるうる粘膜」で寿命が延びる!』(幻冬舎MCでは、まさに この孤独担当大臣について触れた。自身の講演でも、Susan Pinker『The village effect』からの引用で、健康・長生きには、Close relationship、Social integration 人とのつながり が重要であることを、強調させてもらっている。人とのつながりが、心とからだ、特に粘膜の乾き・渇きの予防や対策になる。心もからだも、”かさかさ”ではなく、”うるうる”していないといけないと思う。

特に、コロナ禍のsocial distancing は、オンラインの利便性を実感する機会になった反面、直接の人と人とのつながりが奪われることになった。孤立・孤独は、単に配偶者に先立たれた、というケースだけではない。少子高齢化はもちろん、生涯独身率は、男性ではおおよそ25%。さらに、家族と一緒に暮らしていても、家庭内・社会・学校内での孤立・孤独を感じているケースは多い。

2021年3月11日で、大震災から10年となる。現在も、行方不明の方だけでも2500名をこえ、まだまだ震災の影響は色濃く残っている。10年一区切りという表現は、被災された方々の心境を表しているとはいえない。今年、日本に孤独・孤立対策室が設置されたことは、震災後10年ということと、無縁ではないと感じる。

2021年 日本アーユルヴェーダ学会は、福島県で開催される予定となっている。まだ、現地で開催できるか不透明な部分も多いが、震災後10年目に、学会参加という形ではあっても、福島県にうかがえることをとても楽しみに、有意義に感じている。

きたにし耳鼻咽喉科