大阪をはじめ、全国的な新型コロナウィルス感染拡大状況は、まだまだ先が見通せませんが、
日々の生活での注意や、自身の免疫・抵抗の力を高める習慣を続けるしかないようです。

受診患者さんはもちろん、各種お問い合わせでは、疾患でいうと副鼻腔炎・慢性上咽頭炎、症状でいうと、のどの違和感・後鼻漏・鼻のつまり感・鼻からのどにかけての不快感 などが多くなっています。もちろん、病気や症状の訴えはありますが、その中でも、よくお聞きしたり、問診票に書いておられるのが、
「自分の状態がどうなっているのか わからなくて 不安
「いま 慢性上咽頭炎の診断で その専門の先生に EAT(Bスポット治療)を受けているが、このままでいいのか 不安
「自身の調子を聞きたいが、主治医の先生には聞けなくて 不安
というものです。

さて、患者さんは、なぜ 病院を受診されたのでしょうか?
『戦略としての医療面接術』(児玉知之著)によれば、患者さんが病院を受診する理由としては、
「症状がつらいから」
「健康になりたいから」
「病気を治してほしいから」

もちろん、そういった理由はあると思いますが、基本的には、患者さんは、
「不安だから」
病院をおとずれ、医師の話を聞きたいと思って 受診されているのです。
当院を受診された患者さんのお悩みを聞いていても、まさにその通りなのです。

医師(医療者)と患者さんの間の 信頼関係、意思疎通を大切にする、コミュニケーション医学という考え方があります。そこで紹介されるのが、
治癒的自己(therapeutic self) 
というものです。Dr. JG Wartkinsが、医師の医学的知識・診療技術を超えた何か大切なfactor(人間的な部分)が,治療の過程に影響を及ぼすと考え,それを治療的自己と呼びました。

難しい概念はさておき、診察する側の医師の存在自体、また、そのクリニックの場自体が、患者さんが治るのには大切だとする考え方といえると思います。医療者は、検査をして正しい診断を下し、その病気に対して、ただただ きっちり治療さえすれば、患者さんの症状が改善すると考えがちです。特に、〇〇専門外来・〇〇に特化したクリニック・代替医療を中心とする高額な治療費のかかるクリニック… であればあるほど、そういった傾向がある印象をもっています。この薬さえ飲んでおけばいい! この処置だけ続けておけばいい! 治らないのは あなたがちゃんと処置を受けないからだ! 病気でもなんでもないのだからしょうがない! 治るためには これくらいの費用はかかるものだ! ほかに治療法がないのだから こっちの言うとおりにしておいて! と。

一方で、患者さん側からすると、治療を受けている医師と話もできず、自身の病状もわからず、ただ病院にいって処置を受けてくるだけ。場合によっては、高額な治療や高額なサプリメントをずっと買わされるだけ(EATも、自費治療として、高額費用を請求するケースもある)。これでは、まさに不安ばかりが募り、症状が改善していくとは思えません。私たちが、患者さんの不安を解消することで はじめて、不調が改善へと向かうスイッチが入ります。病気の内容を説明し、治療を行い、さらに日々の生活で必要な対処法を提案する。こうしたことがそろうことで、ようやくほんとうの治癒力が発動するように思っています。

コロナ禍。テレビを見ても不安。ネットを見ても不安。自分がかかるのではないか不安。家族がかからないか不安。明日が不安。仕事が続けられるのか不安。
思っている以上に、みなさんの からだやこころの治るはたらきが 低下しています。適切な診断や治療はもちろんのこと、こうした不安に応える医療 コミュニケーション医学が いまこそ大切だということを 見つめ直す必要を感じています。

 

 

きたにし耳鼻咽喉科