まだまだ 新型コロナウィルス感染は 収束が見えず
コロナ前の日常生活を考えると 不自由さ、不安感、疲労感があるのは否めません。
特に 慣れないマスク生活は 苦労も多いようです。
また、学生の方から話を聞くと、入学してから お互いに マスクをした顔しか見ていないので、友達のほんとうの顔を知らない なんていうこともあるようです。

病院、クリニックでも
最近は パソコン画面ばかりを見て、外来診察でも 患者さんの顔すら見ないことも多くなっているので、患者さんがマスクをされていても あまり関係ない!という医師もおられるかもしれませんが…

私たち医師の診察は、患者さんが診察椅子に座られて、画面の検査結果を見るところから始まるのではありません。患者さんが診察室に入ってくるときから、始まっています。
歩き方、歩く速さ、姿勢、さらには 単なる表情だけでなく、顔色、肌つや、目力、声色、声力、加えて いつも来られる診察時間帯、曜日ではない日にこられたら 何かあったのかな?とまで考えます。

そこには 検査には表れてこない 患者さんの情報 すべてが含まれています。
検査結果を見て、検査結果を「直す」のではありません。患者さんご自身の不調、不安を解決、改善、開放して、「治す・癒す」これが私たちの役割だと考えています。

こんなケースがありました。
普段 通院されている患者さん。ご本人はいつもと変わらず、
「変わったことはありません」
と診察椅子に座られる。ところが、マスク越しの目元がいつもとなんとなく違う。あれ?

目元 目の閉じ方に左右差あり。あらためて いったんマスクをとっていただき、顔全体をみせていただくと やはり口元も動きが違う…   顔面神経麻痺。ご本人は無症状。

私たち耳鼻科医は、普段から顔面神経麻痺の診察をしていますので、もしかすると 表情の左右差には、自分が思っているよりも注意を払っているのかもしれません。ただ、マスクをされ、さらにサイズが大きめだと、目元近くまで隠れている方もおられます。

あらためて 私たち医療者はもちろん みなさん マスクの下に隠されたご自身のお顔を あらためて見直してみましょう。

 

きたにし耳鼻咽喉科