このたび『認知症サポート医』の講習を受け、資格を取得することになりました。

あまり聞きなれないかもしれませんが、認知症サポート医の役割は(「認知症地域医療支援事業実施要綱」(以下、「国要綱」とする)より)

①かかりつけ医等の認知症診断等に関する相談・アドバイザー役となるほか、他の認知症サポート医との連携体制の構築
②各地域医師会と地域包括支援センターとの連携づくりへの協力
③かかりつけ医等を対象とした認知症対応力の向上を図るための研修の企画立案及び講師
とされています。ただ、耳鼻科医の認知症サポート医の取得率はとても低く、積極的に耳鼻科医が、認知症に関わる必要があると考えて、取得しました。

耳鼻科医と認知症って!?
直接 関連しないように思われる方もあるかと思いますが、耳鼻科外来には、
難聴(認知症の重要なリスクファクター)
嗅覚低下(認知症の初期症状であることがある)
音声障害(声がれ、声の不調に続いて、嚥下機能が悪くなることが多い)
嚥下障害(認知症に限らず、高齢者の生活に関わる重要な症状)
ふらつき(嚥下障害と同様、高齢者の各種フレイル・虚弱・機能低下の一つ)
などで来院される方が多くおられます。

私たち耳鼻科医の何気ない気づきが 認知機能の変化を見つけることにつながります。また、認知症に関連した症状でない方でも、私たち耳鼻科医が 日常診察で、来院される方の認知機能の経過を見ることも、重要です。
また、実際に症状が出てきた場合に、誰に、何を相談したらいいか 迷われる方が少なくありません。それは、ご本人やそのご家族だけでなく、実は 医療者も、認知機能が低下した受診者に対して、何をどうしたらいいのか わからないことも珍しくありません。

そういった場合に、『認知症サポート医』が、橋渡し役・相談役として、患者様ご本人、その後ご家族、地域包括支援センター、かかりつけ医、認知症専門医 それぞれにつなげていけるようになればと考えています。

あまり知られていないのですが、
1994年「国際アルツハイマー病協会」(ADI)が世界保健機関(WHO)と共同で、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しました。この日を中心に認知症の啓蒙を実施するとともに、9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、様々な取り組みを行っています。

ただ、この日だけ、この月だけ、認知症を思い出すのではなく、
日々の生活の中で 皆がよりよく過ごせるように、耳鼻科医が気づき・見守り・橋渡し役として、診察にも生かしていきたいと思います。

きたにし耳鼻咽喉科