先日 ホリスティック医学協会シンポジウムに参加させていただきました。
2年ごとに開催されますが、ここ3回参加させていただいています。毎回とても興味深いお話が聞けて、楽しみです。

以前の病院でお世話になっていた緩和ケア・心療内科医 黒丸尊治先生が主催されておられます。私が統合医療、ホリスティック医学に興味を持ち、学ぶことになった 初めのきっかけをいただいた先生ですので、とても感謝しています。
いつも穏やかな、温かい雰囲気の先生です。

各講演者の方々はバラエティーに富んでいて、お話も面白く、自身の診療に、自分の生き方に、とても有意義でした。

川畑のぶこ先生は、サイモントン療法の第一人者といっていい存在です。がん患者さんと、そのサポーターのための心理療法で、最近ではがんだけでなく、ストレスを抱える心的な疾患にも、その治療法の適応が広がっています。
耳鼻科一般外来で、継続的にがん患者様を診るのが難しいため、サイモントン療法はしっかりと学べてはいないのですが、先生のお話を聞いて、あらためて患者さんとの関わりの面からも、サイモントン療法に興味を持ちました。

『病気はメッセンジャー』であるという考えは、どの疾患にもあてはまりますね。

竹林直紀先生は、同じ関西で開業されておられます。特に、ご自身の留学時に学ばれたマインドフルネスも診療に取り入れておられ、ここ数年マインドフルネスに関わらせてもらっていることからも、いいご縁をいただけたと思っています。

『You see the world through how you feel!』私たちは、自身が感じたようにものごとを見ている(訳が下手ですが…)先生が示された、このことばが印象的でした。

岸見一郎先生。ご講演をお聞きする前から、先生の「嫌われる勇気」は読ませていただいていましたが、アドラー心理学のすべてが入っている本で、とても興奮して読みました。そういう考え方があるんだな、と医療者として、日々患者さんと向き合っていると、うなずけることがたくさんあります。

先生のお話はとても面白く、独特の雰囲気、間は、話を聞くものを惹きつける、素晴らしい講演でした。
いろいろと心に残ることばがありましたが、

『臓器言語』アドラーも、身体の各臓器が、それぞれの人がもっともよく表現できる言語=臓器言語だといっているんですね。患者さんのことばはもちろん、患者さんの臓器が発することばを、私たち医療者はしっかりと聞く必要があります。

心屋仁之助さん。テレビで見たり、書籍は読ませてもらっていましたが、実際もほとんどかわらない、思っていた通りの方でした。ご本人の講演はもちろんですが、台本のないやりとりの中でも、的確に話をされる心屋さんの、頭の回転の速さをあらためて実感しました。

『「病気」は「自分らしく生きていない」のサイン』
まさにその通りですね。意識して、または無意識のうちに、がんばってしまう自分。がんばらないと評価されないと思いこんでいる自分。がんばらないと価値がないと思っている自分。特にそれは、多くの方に共通して、母親に認められたい・ほめられたい、母親を悲しませたくない、という思いに起因している…。

もっと自分らしく、もっと人に迷惑をかけまくって、わがままにやりたいことをやって生きる。
程度問題もあるし、意味を取り違えるといけませんが。
自分らしく生きることも、思うより難しいものです。

ほんとうに多くの学びがありました。診療として、自分の生き方として。
ありがとうございました。

きたにし耳鼻咽喉科