コーネル大学栄養生化学部名誉教授 「栄養学分野のアインシュタイン」とも称される世界的権威 コリン・キャンベル博士の来日記念講演が開催されました。前日土曜日の懇親会、昨日の講演会ともに参加させていただきました。

講演タイトル『正しい栄養学こそ「真の医学」といえるのではないだろうか』に、博士のおっしゃりたいことがすべてつまっていると思います。

動物性たんぱく質摂取の問題を指摘、訴えられ、がんをはじめ、心臓疾患、糖尿病など、多くの病気がまだまだ未解決になっている理由を、科学的根拠にもとづいて示されました。

薬による治療は、主な原因となる箇所の反応を止めて、症状を一時的に軽減することはできても、からだの仕組みはそんなに単純にはできていません。薬によって、ある1つの反応が止まることで、からだの中の多くの反応に影響を及ぼし、いわゆる副作用をもらたす。一方で、whole foodは、多くの反応に働きかけることで、一部の反応を止めることによる副作用などなく、調子を調えてくれます。過剰な動物性たんぱく質摂取による、がん発生、進行のメカニズムも、すべてではありませんが、お話くださいました。

ご夫婦で来日されていましたが、とてもお元気で、肌のつやが素晴らしかったです。

もちろん、各個人にはそれぞれの生活環境があり、家族構成、仕事での帰宅時間、経済的な状況、これまで育ってきた環境…などがあるので、すぐさま食生活を変えることは難しい方が多いでしょう。ただし、薬の治療はもちろん、単一の栄養素を摂るというサプリメントも、plant-base whole food の力には遠くおよびません。また急激に肉を食べないようにということも難しいと思います。私も、耳鼻科の症状でこられる患者さんには、ほとんど生活習慣、睡眠、食生活についておたずねして、それについてお話しさせてもらっています。

決して、医療者側の独りよがり、押し付けにならないように心がけながら、健康増進、病気回復の養生法の柱として、患者さん、周囲の人たちとともに、食を考えなおす必要性をあらためて感じました。

長年、ナチュラルハイジーン、プラントベース ホールフードの大切さを訴え、日本への普及に多大な貢献をされている松田麻美子先生をはじめ、今回の来日招待講演にご尽力された Natshell 担当者の方々、その他多くのスタッフのみなさんに、感謝したいと思います。

さらに、これを契機に、ぜひ多くの方に食の大切さが広がることを期待し、またその一翼、一端を担えればと思っています。

きたにし耳鼻咽喉科